2026年3月31日、北近畿旅2日目です。
前日は福井県敦賀市を中心に、金崎宮や氣比神宮、気比の松原などを巡り、敦賀の歴史と桜を満喫しました。
この日は車中泊をした場所で朝を迎え、身支度を整えて出発。
テーマは「自然」です。
ラムサール条約登録湿地や若狭湾の自然を巡りながら、生きものや景観を楽しむ一日になりました。
前日の旅行記はこちらをご覧ください。

中池見湿地|一度は訪れたかったラムサール条約湿地

この日の最初の目的地は、中池見湿地です。
私自身、ラムサール条約登録湿地に関わる仕事をしていることもあり、一度は訪れてみたいと思っていた場所でした。
敦賀市街地からわずか数kmという距離にありながら、周囲を山々に囲まれた静かな湿地が広がっています。
到着すると、朝の澄んだ空気の中に鳥のさえずりが響き、想像していた以上に落ち着いた雰囲気でした。
世界的にも貴重な湿地

中池見湿地は、2012年にラムサール条約湿地へ登録されました。
約10万年もの歴史を記録した泥炭層が地下に堆積しており、地球環境の変遷を知る上でも世界的に価値の高い場所とされています。
さらに約4,000種もの動植物が確認され、絶滅危惧種も数多く生息しています。
ラムサール条約では9つの登録基準がありますが、中池見湿地は
- 基準1(代表的な湿地)
- 基準2(絶滅危惧種)
- 基準3(生物多様性)
という3つの基準を満たし、国際的に重要な湿地として認められています。
仕事柄、このような場所へ実際に足を運べるのは本当に勉強になります。
ノジコを期待したものの…
中池見湿地といえば、やはりノジコ。
日本では繁殖地が限られ、中池見湿地は渡りの重要な中継地として知られています。
「春渡りでも立ち寄ってくれないかな」と少し期待していましたが、この日は姿を見ることはできませんでした。
その代わり、頭上をミサゴが悠々と飛翔。

湿地の静かな景色の中を飛ぶ猛禽類の姿は、やはり格好良いものです。
派手な出会いではありませんでしたが、こういう一期一会も野鳥観察の魅力ですね。
ビジターセンターで情報収集

散策後は「中池見 人と自然のふれあいの里 ビジターセンター」へ。
展示を見学しながらスタッフの方ともお話しさせていただき、湿地の保全活動や生きものについて教えていただきました。
現地の方から直接話を聞くと、パンフレットだけでは分からない情報も多く、旅の満足度がぐっと上がります。
中池見湿地は派手な観光地ではありませんが、自然が好きな方にはぜひ訪れてほしい場所でした。
三方五湖|5つの湖が織りなす絶景
続いて向かったのは、三方五湖です。
こちらもラムサール条約登録湿地として知られる場所で、中池見湿地とは異なる魅力があります。
レインボーラインから望む絶景

まずはレインボーラインを走り、展望台へ。
眼下には5つの湖が広がり、天気にも恵まれたことで非常に美しい景色を見ることができました。
三方五湖は、それぞれ塩分濃度や水深が異なるため、水の色合いまで違って見えることから「五色の湖」とも呼ばれています。
湖と山々、そして若狭湾まで見渡せる景色は、まさに北陸を代表する絶景でした。
しばらく景色を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごします。
道の駅でまさかの休館日

景色を満喫した後は、道の駅 三方五湖へ移動。
ここには自然観察棟があり、双眼鏡やフィールドスコープが設置され、野鳥や湿地について学べる施設があります。
鳥の展示も楽しみにしていたのですが……
なんと休館日。
毎週火曜日が定休日とのことで、ちょうどその日に当たってしまいました。
こういうことも旅ではよくあります。
せっかくなので、自分の双眼鏡とフィールドスコープを持ち出し、湖を眺めながら鳥を探すことに。
短時間の観察でしたが、自然を感じながら過ごす時間は十分に楽しめました。
福井県海浜自然センター|無料とは思えない充実した展示

三方五湖を後にして向かったのは、福井県海浜自然センターです。
以前から気になっていた施設ですが、実際に訪れてみると想像以上の内容でした。
しかも入館無料。
「本当に無料でいいの?」と思うほど充実しています。
若狭湾の生きものを学べる施設

館内には若狭湾や三方五湖に生息する魚たちが数多く展示されています。
入口の大型水槽では餌やり体験もでき、魚たちが一斉に集まってくる様子は大人でも見入ってしまいます。
タッチプールでは魚と触れ合うことができ、ガラ・ルファの体験コーナーも人気でした。
2階では淡水魚・汽水魚・海水魚を比較しながら観察でき、三方五湖ならではの環境の違いも分かりやすく紹介されています。
環境問題についても学べる

印象的だったのは、生きものだけで終わらない展示です。
ブラックバスやブルーギルなどの外来種問題。
海岸漂着ごみ。
絶滅危惧種の保全。
単なる水族館ではなく、「自然を守る」という視点で展示が構成されているため、大人でも十分楽しめます。
仕事柄、こうした展示はつい時間をかけて読んでしまいます。
無料とは思えない満足度

館内を一通り見学して感じたのは、「無料とは思えない」ということでした。
展示内容だけでなく、体験コーナーや足湯まで備えられており、小さなお子さんから大人まで楽しめる施設になっています。
もし三方五湖周辺を観光するなら、ぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
無料でこれだけ学べる施設は、なかなかありません。
御食国若狭おばま食文化館|「食」を通して若狭と日本を学ぶ

福井県若狭町を後にし、小浜市へ向かいます。
次に訪れたのは、「御食国若狭おばま食文化館」です。
若狭といえば、古くから朝廷へ食材を献上してきた「御食国(みけつくに)」として知られる土地。
食文化をテーマにした施設というだけでも興味深いのですが、私にはもう一つ目的がありました。
それは、大好きな魚である「サバ」について学ぶことです。
鯖街道の歴史に触れる

館内では、若狭の食文化や発酵文化、和食の歴史などが分かりやすく展示されていました。
中でも印象に残ったのが「鯖街道」の展示です。
若狭で水揚げされたサバなどの海産物は、京都まで約80kmの道のりを人の手で運ばれていました。
京都へ着く頃にはちょうど良い塩加減になっていたことから、多くの人々に親しまれていたそうです。
物流の歴史だけでなく、日本の食文化そのものを支えてきた道だったことを知り、とても興味深く感じました。
食品サンプルが想像以上にすごい

館内には、全国各地の郷土料理や寿司、お雑煮などを紹介する展示もあります。
説明だけでなく、食品サンプルがとても精巧。
本物と見間違えてしまうほどの完成度で、見ているだけでもお腹が空いてきます。
料理の違いや地域ごとの文化が視覚的に分かるため、子どもでも楽しめる展示でした。
また、若狭塗箸などの伝統工芸や体験コーナーもあり、時間があれば体験してみるのも面白そうです。
入館無料とは思えないほど内容が充実しており、食べることが好きな人なら間違いなく楽しめる施設でした。
高浜八穴|日本海が生み出した絶景

続いて向かったのは、高浜八穴です。
日本海の荒波が長い年月をかけて岩を削り、8つの海食洞を形成した景勝地として知られています。
明鏡洞の美しさ

最も有名なのは「明鏡洞」。
岩の穴の向こうに日本海が見える景色は、まさに自然が作り出した芸術作品です。
室町幕府三代将軍・足利義満も、この景色を大変気に入り、何度も訪れたという記録が残っています。
実際に目の前で見ると、その理由にも納得。
波の音だけが響く静かな海岸で、しばらく景色を眺めてしまいました。
展望台から眺める若狭湾
その後は天王山展望台へ。
展望台から見下ろす若狭湾は、どこまでも青く穏やかです。
この日は快晴だったこともあり、海の青さが一段と際立っていました。
こうした景色を見るたびに、日本海側の自然の美しさを改めて実感します。
舞鶴|歴史と海上自衛隊のまちへ

福井県を離れ、いよいよ京都府舞鶴市へ。
今回の旅で、特に楽しみにしていた場所の一つです。
横須賀、呉と訪れてきた私にとって、四大鎮守府の一つである舞鶴はぜひ訪れたい場所でした。
これで残すは佐世保のみ。
そんなことを考えながら、少しニヤニヤしつつ舞鶴観光を始めます。
なぜ舞鶴に軍港が造られたのか

舞鶴湾は、入口が狭く、周囲を山に囲まれた天然の良港です。
大型艦艇が停泊できる十分な水深があり、外海から内部が見えにくいという特徴があります。
さらに明治時代、日本海側最大の脅威だったロシアへの備えとして軍港が整備されました。
初代舞鶴鎮守府司令長官は東郷平八郎。
日露戦争で日本海海戦を勝利へ導いた人物として知られています。
「勝って兜の緒を締めよ」
私が好きな言葉の一つでもあります。
成功した後こそ気を引き締める。
現代にも通じる、とても重みのある言葉だと思います。
舞鶴市立赤れんが博物館

まず訪れたのは、舞鶴市立赤れんが博物館。
世界でも珍しい「れんが」をテーマにした博物館です。
建物自体も旧海軍の魚雷庫として建設された歴史ある建築物で、国の重要文化財にも指定されています。
世界各地のれんがや建築文化が紹介されており、れんが一つから歴史や技術の進歩を学べる非常に興味深い施設でした。
派手さはありませんが、建築や歴史が好きな人にはおすすめです。
舞鶴赤れんがパーク

続いて赤れんがパークへ。
旧海軍時代の倉庫群を活用した観光施設で、現在は展示施設やショップ、イベント会場として利用されています。
日本遺産の常設展示

特に印象に残ったのは、日本遺産の常設展示でした。
横須賀、呉、佐世保、舞鶴。
四つの鎮守府が日本の近代化に果たした役割が分かりやすく紹介されています。
軍港という視点だけではなく、近代日本を支えた都市としての歴史も知ることができ、大変勉強になりました。
海上自衛隊の艦艇を眺める

展示を見終え、外へ出ると海上自衛隊の艦艇が停泊している様子を見ることができました。
まず目に入ったのは、掃海艇「はつしま」。
機雷を探知・処分し、安全な航路を確保するための艦艇です。
船体には磁気に反応する機雷を避けるため、FRP(繊維強化プラスチック)が採用されているという特徴があります。
普段あまり注目される艦種ではありませんが、日本の海を守る上で欠かせない存在です。
さらに目を引いたのが、巨大なイージス艦。

「あたご」と「みょうこう」が並んで停泊していました。
高性能レーダーを搭載し、弾道ミサイル迎撃や艦隊防空を担う、日本を守る「盾」ともいえる存在です。
実際に目の前で見ると、その大きさと迫力は写真では伝わりません。
赤れんが倉庫と護衛艦が同じ景色に収まる光景は、舞鶴ならではだと感じました。
歴史と現在の防衛が共存する、とても印象的な場所でした。
この日の終わり

舞鶴を満喫した後は、マクドナルドでしばらく仕事。
旅先でも仕事ができるのは、今の働き方ならではだと感じます。
仕事を終えたら、この日の車中泊場所へ移動。
長距離の移動が続いた一日でしたが、ラムサール条約湿地から若狭湾、食文化、軍港まで、本当に内容の濃い一日になりました。
翌日は、いよいよ日本三景の一つである天橋立から旅がスタートします。
まとめ
2日目は、自然・文化・歴史が見事につながる一日となりました。
最初に訪れた中池見湿地では、ラムサール条約湿地の価値を現地で改めて実感し、三方五湖では「五色の湖」と呼ばれる美しい景観を楽しむことができました。
若狭地方では食文化に触れ、高浜では日本海が生み出した絶景を堪能。
そして最後は舞鶴で、近代日本の歴史や海上自衛隊について学ぶことができ、旅の締めくくりとして非常に満足度の高い時間となりました。
北近畿は、一見すると地味な観光地という印象を持たれることもありますが、実際に巡ってみると、自然・歴史・文化・食と、どれも魅力にあふれています。
翌日は、日本三景・天橋立をはじめ、さらに北近畿の魅力を巡る旅が続きます。


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