世界遺産・宮島の最高峰である弥山は、広島を代表する紅葉の名所として多くの観光客を魅了しています。
特に11月中旬から12月上旬にかけての紅葉シーズンは、宮島全体が色鮮やかに染まり、息を呑むような景観を楽しむことができます。
しかし、この時期は年間で最も混雑する時期でもあります。
本記事では、宮島・弥山の紅葉時期における混雑状況や見頃の時期、観光の注意点などを詳しく解説します。
紅葉観光を最大限に楽しむための計画づくりにお役立てください。
宮島・弥山の紅葉の基本情報

宮島・弥山の紅葉は、例年11月中旬から12月上旬にかけて見頃を迎えます。
瀬戸内海の温暖な気候のため、本州の山間部よりやや遅めに色づくのが特徴です。
山麓から標高535メートルの山頂まで、標高差によって紅葉の進み方が異なるため、長期間にわたって紅葉を楽しめるスポットとして人気を集めています。
紅葉の見頃時期
- 山頂付近:
- 11月上旬~中旬
- 中腹付近:
- 11月中旬~下旬
- 山麓(紅葉谷公園など):
- 11月下旬~12月上旬
主な紅葉の樹種
宮島・弥山の紅葉は、主に以下のような樹種で構成されています。
- 紅葉谷公園:
- イロハモミジ(約560本):
- 鮮やかな赤色に色づく代表的な樹種
- オオモミジ(約100本):
- 葉が大きく見ごたえのある紅葉
- ヤマモミジ:
- 日本海側に分布する樹種
- ウリハダカエデ:
- 特徴的な葉を持つカエデ
- イロハモミジ(約560本):
- 弥山原生林:
- ハゼノキ:
- 真っ赤に色づき原生林を彩る
- アカマツ:
- 照葉樹とともに独特の風景を作り出す
- ネジキ、リョウブ:
- 落葉広葉樹で秋には色づく
- アカガシ:
- 山頂付近に見られる常緑広葉樹
- ハゼノキ:
弥山一帯で見られる紅葉の多くは、明治時代に植栽されたものと言われており、特に紅葉谷公園は人の手によって作られた紅葉の名所です。
一方で山頂付近の弥山原生林は、自然のまま残された貴重な森として世界遺産にも登録されています。
紅葉時期の混雑状況

宮島・弥山の紅葉シーズンは、年間で最も観光客が多く訪れる時期の一つです。
特に11月中旬から下旬にかけての週末は、島全体が非常に混雑します。
近年は2024年に年間来島者数が485万人以上を記録し、紅葉シーズンのピーク時には1日に4万人もの観光客が訪れることもあります。
時期による混雑度
- 11月上旬:
- 紅葉の色づき始め、比較的空いている
- 11月中旬~下旬:
- 最も混雑する時期、特に土日祝日は非常に混雑
- 12月上旬:
- 紅葉の終わり頃、混雑は徐々に緩和
紅葉が見頃を迎える11月中旬から下旬の週末は、ロープウェーの待ち時間が1時間以上になることも珍しくありません。
また、表参道商店街や人気の飲食店も長蛇の列ができます。
平日でも観光バスや団体客が多く訪れるため、ある程度の混雑は覚悟しておく必要があります。
混雑する時間帯

宮島・弥山の紅葉シーズンは、時間帯によって混雑状況が大きく変わります。
混雑を避けてゆっくりと紅葉を楽しむには、以下の時間帯を意識した計画が重要です。
特に混雑する時間帯(10:00~15:00)
紅葉シーズンの日中は、最も多くの観光客が集中し、様々な場所で混雑が発生します。
- 10:00~15:00頃:
- 日帰りツアー客や修学旅行生が多く訪れる時間帯
- ロープウェーは最大1時間以上の待ち時間が発生
- 紅葉谷公園の撮影スポットに人の列ができる
- 表参道商店街や飲食店は昼食時と重なり大混雑
比較的空いている時間帯
- 早朝(~9:00頃まで):
- 多くの日帰り観光客がまだ到着しておらず最も静か
- 厳島神社は早朝から開いており静かに参拝可能
- 紅葉谷公園も落ち着いて鑑賞できる絶好の時間
- ロープウェーの始発に近い時間なら待ち時間なく乗車可能
- 夕方(16:00以降):
- 日帰り客が帰路につき始め、人出が減少
- 夕暮れの瀬戸内海と空いてきたロープウェーからの景色を楽しめる
- 紅葉谷公園のライトアップが行われる時期は幻想的な雰囲気
- ただし夜間も混雑することがある
混雑を回避するには、これらの時間帯の傾向を参考に、早朝出発や午後遅めの訪問を計画するのが効果的です。
特に11月の週末は、早朝か夕方以降の行動がおすすめです。
混雑しやすい場所

宮島・弥山の紅葉シーズンには、特定のスポットで顕著な混雑が見られます。
事前に混雑しやすい場所を把握しておくことで、効率的な観光計画を立てることができます。
紅葉谷公園
紅葉谷公園は宮島で一番の紅葉名所であり、最も混雑するスポットの一つです。
- 場所:
- 厳島神社の裏手
- 弥山の麓に位置
- 混雑理由:
- 約700本のカエデが色づき、特に「もみじ橋」周辺は絶好の撮影スポット
- 混雑の度合い:
- 紅葉のピーク時には道幅が狭いこともあり人波で動けなくなることも
- 混雑時間帯:
- 10:00~15:00が最も混雑
- 特に週末は写真撮影の列ができる
弥山ロープウェー
弥山へ向かう多くの観光客がロープウェーを利用するため、紅葉シーズンは非常に混雑します。
- 場所:
- 紅葉谷公園の奥にある紅葉谷駅から弥山中腹の獅子岩駅を結ぶ
- 混雑理由:
- 弥山山頂へ向かう最も手軽な交通手段
- 混雑の度合い:
- 10:00~15:00頃は特に混雑
- 50分以上待つことも珍しくない
- 注意点:
- 下山時(帰り)も混雑するため、往復の時間を考慮した計画が必要
表参道商店街
宮島桟橋から厳島神社に向かう道沿いの商店街は、常に観光客で賑わいます。
- 場所:
- 宮島桟橋から厳島神社に向かう道沿い
- 混雑理由:
- 食べ歩きグルメや土産物屋が集中
- 混雑の度合い:
- 昼食時(11:00~15:00頃)は特に混雑し、飲食店に行列ができる
- 対策:
- 早めの時間帯に食事を済ませるか、テイクアウトを利用する
厳島神社周辺
世界遺産である厳島神社は、宮島観光のハイライトであり、多くの人が訪れます。
- 場所:
- 宮島の中心に位置する神社と大鳥居周辺
- 混雑理由:
- 宮島観光の主目的地
- 混雑の度合い:
- 紅葉シーズンは参拝客が長蛇の列になることがある
- 特徴:
- 干潮時には大鳥居の近くまで行けるため、多くの人が集中する
弥山展望台
弥山山頂の展望台は、瀬戸内海の絶景を一望できる人気スポットです。
- 場所:
- 弥山山頂(標高535m)
- 混雑理由:
- 瀬戸内海の多島美を360度見渡せる絶景ポイント
- 混雑の度合い:
- 獅子岩駅から山頂までの道中も混雑し、展望台は写真撮影の人々で賑わう
- 注意点:
- 山頂までは獅子岩駅から徒歩約30分かかる
混雑を避けるポイント

宮島・弥山の紅葉を混雑なくゆっくり楽しむためには、以下のポイントを参考にしてください。
訪問時期の選択
- 平日訪問:
- 可能であれば、土日祝日を避けて平日に訪れる
- シーズンをずらす:
- 11月上旬または12月上旬など、ピーク時期をずらして訪問する
- 天気予報チェック:
- 晴れの日は特に混雑するため、曇りや平日の訪問を検討する
時間帯の工夫
- 早朝プラン:
- 早朝のフェリーで渡島し、人が少ないうちに主要スポットを観光
- 夕方プラン:
- 日中の混雑を避け、午後遅めに宮島へ向かう
- 宿泊プラン:
- 宮島に宿泊し、早朝や夜の静かな時間に観光を楽しむ
交通手段の選択
- 公共交通機関の利用:
- 宮島口周辺の駐車場は満車になることが多いため、JRや広電を利用
- 早い便のフェリー:
- 朝7時台のフェリーで渡島すると、混雑前に観光できる
- ロープウェー利用のタイミング:
- 始発直後か、夕方以降の比較的空いている時間帯を選ぶ
観光ルートの工夫
- メインと逆のルート:
- 多くの観光客は厳島神社→紅葉谷公園→弥山の順で回る
- 逆のルートを検討
- 穴場スポットの活用:
- 大元公園など、比較的空いている紅葉スポットを組み込む
- 食事時間のずらし:
- 混雑時間を避け、10:00頃の早めのランチや15:00以降の遅めの食事を計画
弥山の紅葉スポット

宮島・弥山エリアには、様々な紅葉スポットがあります。
それぞれの特徴や見どころを紹介します。
紅葉谷公園
宮島で最も人気の紅葉名所です。
- 場所:
- 厳島神社から徒歩約5分の弥山麓
- 特徴:
- 約700本のカエデ類が園内を鮮やかに彩る
- 見どころ:
- 入り口にある朱色の「もみじ橋」と紅葉のコントラストは人気の撮影スポット
- ライトアップ:
- 見頃時期には夜間ライトアップも実施され、昼間とは異なる幻想的な景色が楽しめる
- アクセス:
- 厳島神社から徒歩約5分、宮島桟橋から徒歩約15分
大聖院
弥山登山道の途中にある歴史ある寺院で、境内の紅葉も見事です。
- 場所:
- 宮島桟橋から徒歩約20分、紅葉谷公園の近く
- 特徴:
- 歴史ある寺院の境内と紅葉が調和した風景が魅力
- 見どころ:
- 「紅もみじライトアップ」が開催される期間は、厳かな雰囲気の中で紅葉を楽しめる
- 混雑度:
- 紅葉谷公園ほどではないが、紅葉シーズンは賑わう
- 拝観料:
- 大人300円(時期により変更の可能性あり)
弥山ロープウェイからの眺望
空中から紅葉を楽しめる貴重なスポットです。
- 区間:
- 紅葉谷駅~獅子岩駅
- 特徴:
- 紅葉谷の森を上空から俯瞰できる絶好のビューポイント
- 見どころ:
- 紅葉で赤く染まった森と、青い瀬戸内海のコントラストが美しい
- 営業時間:
- 9:00~17:00(シーズンや天候により変更あり)
- 料金:
- 往復1,800円、片道1,000円(大人料金、時期により変更の可能性あり)
弥山展望台
弥山山頂にある展望台からは、紅葉と瀬戸内海の絶景が一望できます。
- 場所:
- 標高535mの弥山山頂
- 特徴:
- 360度のパノラマビューが魅力で、ミシュラン・グリーンガイドで三つ星を獲得
- 見どころ:
- 紅葉に彩られた宮島の山々と、瀬戸内海の多島美を同時に楽しめる
- アクセス:
- 獅子岩駅(ロープウェー終点)から徒歩約30分の山道を登る
- 混雑度:
- 天候の良い紅葉シーズンの週末は非常に混雑
大元公園
比較的人混みを避けてゆっくりと紅葉を鑑賞できる穴場スポットです。
- 場所:
- 弥山原生林のふもとにある自然公園
- 特徴:
- モミジだけでなく、豊かな植生と穏やかな雰囲気が魅力
- 見どころ:
- 人混みを避けて静かに紅葉を楽しめる
- アクセス:
- 宮島桟橋から徒歩約25分
- 混雑度:
- メジャーなスポットに比べると比較的空いている
紅葉時期の注意点

宮島・弥山の紅葉観光では、以下の注意点に留意しておくと安心です。
服装と装備
- 気温差対策:
- 弥山は標高535mあり、麓と山頂では気温差があります。
- 紅葉シーズンは特に朝晩冷え込むため、脱ぎ着できる服装がおすすめです。
- 歩きやすい靴:
- 弥山登山や紅葉谷公園の散策には、スニーカーなど歩きやすい靴が必須です。
- 雨具:
- 瀬戸内海気候とはいえ、秋は天候が変わりやすいため、折りたたみ傘や軽量のレインコートがあると安心です。
登山・散策時の注意
- 足元注意:
- ロープウェーの獅子岩駅から山頂までの道や登山道には、舗装されていない部分や急な石段、岩場があります。
- 日没時間確認:
- 11月~12月の日没時間は17時前後です。
- 登山をする場合は、日没前に下山できるよう計画しましょう。
- 道迷い防止:
- 登山道には複数のルートがあります。
- 特に弥山原生林コースでは、道標をしっかり確認しながら進みましょう。
- スズメバチ対策:
- 時期によってはスズメバチに注意が必要です。
- 黒っぽい服装は避け、強い香りの化粧品や香水も控えましょう。
その他の注意点
- 水分・食料:
- 紅葉鑑賞や登山で体を動かすため、十分な水分と軽食を携行しましょう。
- トイレ:
- 山頂付近のトイレは限られています。
- 紅葉谷公園やロープウェー駅など、主要スポットのトイレを利用するとよいでしょう。
- 野生動物:
- 宮島には野生の鹿が多数生息しています。
- エサを与えたり、むやみに近づいたりしないようにしましょう。
- 自然保護:
- 弥山は世界遺産区域です。
- 植物や岩石を採取せず、ゴミは持ち帰るなど、自然保護にご協力ください。
まとめ
宮島・弥山の紅葉は、例年11月中旬から12月上旬にかけて見頃を迎え、カエデ類を中心とした色鮮やかな景観を楽しむことができます。
ただし、この時期は年間で最も混雑する時期でもあるため、訪問計画には工夫が必要です。
紅葉シーズンに混雑を避けるポイントは以下の通りです:
- 平日や11月上旬・12月上旬など、ピーク時期をずらして訪問する
- 早朝(9時前)や夕方(16時以降)など、比較的空いている時間帯を狙う
- 公共交通機関を利用し、早めのフェリーで渡島する
- 人気スポットの混雑状況を理解し、逆回りのルートなど工夫する
宮島・弥山の紅葉観光では、気温差や足元の安全に注意しながら、世界遺産の美しい景観と悠久の歴史を感じてください。
早朝の静かな紅葉谷公園や、夕暮れ時の弥山山頂からの眺めは、混雑を避けつつ最高の紅葉体験を提供してくれるでしょう。



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