この日も仕事を終えてから鳥見を開始しました。
向かったのは湿地草原と沼。
天気は晴れで、渡りの進行と繁殖期の気配が強まっており、フィールド全体に生き物の気配が満ちていました。
声と姿の両方がにぎやかになりつつあるタイミングで、多くの鳥たちとの出会いに恵まれました。
ノゴマ

まずはノゴマからです。ついに渡ってきました。
よく通る澄んだ声で囀り、草原の空気を鮮やかに染めていました。
名前の由来には諸説あり、「野に住むコマドリ」という意味で、コマドリに似た美しい声と草原性の生態から「ノゴマ」となったという説が一般的です。
また江戸時代には、喉の赤さから「喉紅鳥(ノゴドリ) 」と呼ばれ、それが転じて現在の名前になったという説もあります。
こうして声を聴くと、いずれの説もなるほどと頷きたくなります。
ツメナガセキレイ

続いてツメナガセキレイです。枝先にとまって周囲を見渡していました。
繁殖期の真っ只中のはずですが、セキレイ類が枝先で警戒姿勢を取るのは少し不思議に思えます。
餌となる虫を待っていた可能性もありますね。
警戒中であればストレスを与えかねないため、撮影は手早く済ませて静かに通り過ぎました。
コヨシキリ

5月28日に今季初認したコヨシキリも姿を見せてくれました。
距離はまだ遠いものの、ようやく撮影に成功。
全力で囀り続けており、パートナー探しが佳境に入っている様子でした。
ツツドリ

こちらもついに渡来したツツドリです。
愛知でも山地へ行けば会えるので馴染み深い鳥ですが、やはりこちらで見ると少し新鮮です。
托卵するトケン類の代表格で、この地域ではウグイスやアオジの巣が主な托卵先になるのでしょう。
カッコウ

続いてカッコウが登場しました。
愛知では山奥でたまに声を聞く程度のレアな存在ですが、この日はまさかの電線とまり。
しかも盛大に「カッコウ、カッコウ」と鳴いていました。
トケン類は一見しただけでは識別がやや難しいものの、こうして大きな声で鳴いてくれると非常に分かりやすいですね。
ここではアオジ、ホオアカ、コヨシキリ、ノビタキなどが托卵相手になりそうです。
オオジシギ

さらにオオジシギにも遭遇!
これまでで最も近い距離で観察でき、細部までしっかり見ることができた日に。
「ズビャーク、ズビャーク」と特徴的な声も響き、草原の夕方らしい臨場感がありました。
ヨシガモ

最後はヨシガモです。
沼や川をスコープで覗けばほぼ毎回視界に入る鳥ですが、距離があるせいでなかなか撮影の機会がありませんでした。
愛知でも普通に見られる種類なので、無理に狙うこともないかと思っていましたが、この日は近距離でじっくり観察!
せっかくなので記念に一枚撮影しました。
まとめ
この日は渡り組と繁殖組が入り交じり、季節の大きなうねりを感じさせる鳥見となりました。
ノゴマやツツドリの到来に加え、草原では求愛や縄張り行動の気配が強まり、湿地や沼もにぎやかになりつつあります。
仕事終わりの短い時間でも、多様な出会いが続く季節の力強さを改めて感じた一日でした。


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