雄大な自然が織りなす感動の山岳ルート、立山黒部アルペンルートをご存知でしょうか?
長野県と富山県にまたがるこのルートは、様々なユニークな乗り物を乗り継ぎながら、息をのむような絶景を間近で体験できる、まさに「雲上の楽園」です。
この記事では、初めての方でも安心してアルペンルートを楽しめるよう、アクセス方法から料金、所要時間、そして旅を快適にするための秘訣まで、徹底的に解説します。
立山黒部アルペンルートってどんなところ?

立山黒部アルペンルートは、全長37.2km、最大高低差1,975mを誇る壮大な山岳観光ルートです。
マイカーの乗り入れができないため、環境が厳重に保護されており、手つかずの自然がそのまま残されています。
日本最長を誇る支柱のない「ワンスパン方式」の立山ロープウェイや、日本で唯一の全線地下式ケーブルカーである黒部ケーブルカーなど、移動手段そのものがアトラクション。
これらのユニークな乗り物に乗って、四季折々に表情を変える大自然の中を進んでいく体験は、まさに非日常です。
開通期間は例年4月中旬から11月末まで。
全線を通り抜けるには、乗り換えや観光の時間を含め、最低でも4〜5時間は見ておくと良いでしょう。
どこから行く?アクセス拠点ガイド

アルペンルートへのアクセスは、長野県側と富山県側の2つの玄関口から可能です。
どちらを選ぶかは、出発地や旅のスタイルによって決まります。
長野ルートの玄関口:扇沢駅(おうぎさわえき)
黒部ダムへ向かう主要な出発点となるのが、長野県大町市にある扇沢駅です。
- 自家用車で:
- 長野自動車道安曇野ICから約60分。
- 扇沢駅には駐車場も完備されています(無料230台、有料350台)。
- GWやお盆、紅葉シーズンなどの繁忙期は大変混雑し、駐車待ちに1〜2時間かかることもあります。
- 混雑回避のポイント:
- 混雑を避けたいなら、マイカー回送サービス(アルペンキャリーサービスなど)の利用が断然おすすめ!
- 扇沢の専用駐車場が無料で使え、駐車待ちのストレスなくスムーズに旅を始められます。
- 公共交通機関で:
- JR松本駅から信濃大町駅(約53分)へ行き、そこから路線バスまたはタクシーで扇沢駅(約25分)。
- JR長野駅からは特急バス「雷鳥ライナー」が便利で、約1時間30分で扇沢駅へ直行できます。
富山ルートの玄関口:立山駅(たてやまえき)
富山県側からの玄関口は、富山地方鉄道の終点である立山駅です。
- 公共交通機関で:
- 電鉄富山駅から富山地方鉄道の電車で立山駅へ。
- 東京方面からは、高速バスで富山まで移動し、そこから富山地方鉄道に乗り換えるルートもあります(約7時間、5,730円〜)。
旅の計画のヒント: 首都圏からのアクセスは、時間効率を考えると長野側(扇沢駅)から入るのが有利なことが多いです。
片道で通り抜けを考えているなら、マイカー回送サービスや、新宿発の「立山黒部アルペンルート新宿きっぷ」などの周遊券を活用すると、移動がグッと楽になりますよ。
ユニークな乗り物を乗り継ぐ旅!料金と所要時間

アルペンルートは、6つの異なる乗り物を乗り継ぎながら進みます。
それぞれの乗り物自体が特別な体験です。
乗り物名 | 区間 | 所要時間(分) | 片道料金(大人/小人) | 運行間隔(目安) | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
関電トンネル電気バス | 扇沢駅 ⇔ 黒部ダム駅 | 16 | 1,800円 / 900円 | 30分 | 環境に優しい電気バス、大破砕帯を車窓から見学 |
黒部ケーブルカー | 黒部湖 ⇔ 黒部平 | 5 | 1,150円 / 580円 | 20分 | 日本唯一の全線地下式ケーブルカー |
立山ロープウェイ | 大観峰 ⇔ 黒部平 | 7 | 1,700円 / 850円 | 20分 | 日本最長ワンスパン方式、「動く展望台」 |
立山トンネル電気バス | 室堂 ⇔ 大観峰 | 10 | 2,200円 / 1,100円 | 30分 | 日本最高所を走る電気バス、雄山直下を貫通 |
高原バス | 室堂 ⇔ 美女平 | 50 | 3,000円 / 1,500円 | 30〜40分 | 「雪の大谷」を走行、途中下車可能 |
立山ケーブルカー | 立山駅 ⇔ 美女平 | 7 | 1,090円 / 550円 | 20分 | 急斜面を昇降、資材運搬の名残、材木石を見学 |
注意点
各乗り物の所要時間は短いものから長いものまであり、運行間隔も異なります。
乗り換え時の待ち時間も考慮し、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
特に始発・終発時間は時期によって変動する可能性があるので、事前に確認が必須です。
全線踏破の料金と所要時間まとめ

扇沢駅〜立山駅(またはその逆)の全線を踏破する場合の料金と所要時間です。
- 片道料金:
- 大人 10,940円、小人 5,480円
- 往復料金:
- 大人 19,680円、小人 9,840円
- お得情報:
- 往復で購入すると、片道料金を2回支払うよりも2,200円もお得になります!
- 同じ入り口に戻る予定なら、往復券が断然おすすめです。
- 目安の所要時間:
- 全線を踏破するには、乗り換え待ち時間や観光時間を考慮して最低4〜5時間が必要です。
- 乗車時間だけでなく、乗り換えの時間をしっかり見込んでおきましょう。
チケット購入ガイド:WEBきっぷと当日券

チケットの購入方法には、事前予約のWEBきっぷと、当日購入する当日券があります。
WEBきっぷ(事前予約)
- メリット:
- 事前に購入することで、混雑時でも長い列に並ばずにスムーズにきっぷを受け取れます。
- 特に、乗車時間が指定される区間(立山ケーブルカーや関電トンネル電気バス)を確実に利用したい場合に便利です。
- 購入方法:
- 公式サイトで会員登録後、利用日時と区間を選択し、クレジットカードで決済。
- 届いたQRコードで入口駅の自動受取機で発券します。
- 有効期間:
- 予約日から片道・往復ともに5日間有効。
当日券
- 購入場所:
- アルペンルート乗車駅のきっぷ売り場で直接購入。
- 電鉄富山駅でも購入可能です。
- メリット:
- 旅程に余裕があり、時間に縛られずに柔軟に旅を進めたい場合に。
- 注意点:
- 繁忙期は購入に時間がかかったり、販売制限がある場合があります。
障がい者割引
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は、普通運賃の5割引で利用できます(ご本人と介護の方1名に適用)。
当日、手帳を提示する必要があります。
お得なセットきっぷ
「立山黒部アルペンルート新宿きっぷ」は、新宿からの高速バスとアルペンルート内の全乗り物、富山地方鉄道の乗車券がセットになった便利なきっぷです。
片道利用を考えている方に特におすすめです。
特にGWやお盆、紅葉シーズンなど、繁忙期に訪れる予定の方は、WEBきっぷの事前予約を強くおすすめします。
これにより、時間のロスを最小限に抑え、計画通りのスムーズな旅が実現できます。
身軽な旅を楽しもう!手荷物回送サービス

複数の乗り物を乗り継ぎ、時には徒歩での移動も伴うアルペンルートでは、大きな荷物があると移動の負担が大きくなってしまいます。
手荷物回送サービスを活用!
アルペンルートでは、大きなスーツケースなどを目的地の駅まで先に送ってくれる手荷物回送サービスが提供されています。
これにより、手ぶらで身軽に観光や散策に集中できます。
ルート内の売店で購入したお土産も回送可能です。
このサービスを活用することで、重い荷物から解放され、室堂での散策や黒部ダム周辺の観光を、より深く快適に楽しむことができます。
- コインロッカー:
- 各主要駅にはコインロッカーも設置されています。
- 室堂駅での一時預かりサービスは2025年6月20日(金)より取り止め予定なので注意しましょう。
四季折々の絶景と準備のコツ

立山黒部アルペンルートは、四季それぞれに異なる表情を見せる大自然が魅力です。
しかし、標高差が約2,000mもあるため、場所や時期によって気温が大きく変わります。
快適に楽しむためには、季節ごとの適切な服装と持ち物が非常に重要です。
春(4月〜6月頃)
- 見どころ:
- 毎年4月中旬の開通から6月中旬まで開催される「雪の大谷ウォーク」は必見!
- 高さ20mにも迫る雪の壁の中を歩く、他に類を見ない体験ができます。
- 服装・持ち物:
- 室堂周辺は真冬並みの寒さ(0℃前後)になることも。
- ダウンや厚手のジャケット、手袋、カイロ、帽子など十分な防寒対策が必須です。
- 雪の照り返しが強いので、サングラスも忘れずに。
- 足元は滑りにくい靴やトレッキングシューズがおすすめです。
夏(7月〜8月頃)
- 見どころ:
- 平地よりも涼しく、平均気温15℃前後と快適に過ごせます。
- 日本一の落差を誇る称名滝は、雪解け水が豊富な春にはハンノキ滝も現れ、夏にはマイナスイオンを全身で感じられます。
- 服装・持ち物:
- 朝晩は冷え込むこともあるので、薄手のフリースやウィンドブレーカーなど、羽織れる上着を一枚用意しましょう。
- 山は紫外線が強いので、帽子、サングラス、日焼け止めも必須。
- 突然の雨に備えてレインウェアも忘れずに。
秋(9月〜10月頃)
- 見どころ:
- 標高差があるため、ルート内で時期をずらしながら紅葉を楽しめます。
- 服装・持ち物:
- 気温は10℃前後と肌寒く、雪が降り始めることも。
- ウールやフリースなど暖かい厚手の長袖、防風性のあるジャケットやダウンベスト、帽子、手袋など、重ね着で温度調整ができる服装がポイントです。
冬(11月頃)
- 見どころ:
- ライチョウが冬羽へ換羽。
- 全身が白くなり、とにかくかわいい。
- 平地の真冬のような気温になり、氷点下になることも。
- ライチョウが冬羽へ換羽。
- 服装・持ち物:
- ダウンジャケットや防寒コートなど、暖かくて防風性のあるジャケットが必須です。
- 保温性の高いインナー、手袋、帽子、そして防水で滑りにくい靴など、徹底した防寒対策を行いましょう。
通年での注意点
山のお天気は変わりやすいので、晴天でも必ずカッパなどの雨具を持参しましょう。
紫外線対策の帽子や日焼け止め、そして歩きやすいように両手が空くリュックと履きなれた靴がおすすめです。
国立公園内なので、ゴミは持ち帰り、美しい自然を守りましょう。
まとめ:計画を立てて最高の旅を!
立山黒部アルペンルートは、綿密な計画と適切な準備を行うことで、壮大な自然とユニークな体験を心ゆくまで堪能できる、忘れがたい旅となります。
この記事でご紹介した情報を参考に、最高の立山黒部アルペンルートの旅を計画してくださいね!