日本三霊山の一つ、標高2,702メートルの白山(はくさん)は、石川県と岐阜県にまたがる活火山です。
その名が示す通り、雪を頂くピークや、豊かな高山植物の楽園として多くの登山者を魅了し続けています。
本記事では、白山登山の主要ルートや所要時間、安全に楽しむためのポイントなどを詳しくご紹介します。
白山の魅力と活火山としての注意点

白山は、富士山・立山と並ぶ日本三霊山の一つです。
白山国立公園内に位置しており、自然環境を守るため動植物や岩石の採集は禁止されています。
また、白山は現在も火山活動を続ける活火山でもあります。
気象庁が24時間体制で観測を行い、2024年6月時点では噴火警戒レベル1(「活火山であることに留意」)が継続されています。
過去にも噴火記録が残っているため、登山の際はヘルメット等を持参し、常に最新の火山情報を確認しましょう。
自己責任の行動が求められる山です。
白山登山のベストシーズンと季節ごとの注意点

ベストシーズン:7月上旬〜10月上旬
この期間の白山は「花の百名山」と呼ばれるほど、高山植物が豊富に咲き誇ります。
クロユリやハクサンコザクラ、さまざまな花々が登山道を彩ります。
残雪期(5月上旬〜6月中旬)
登山適期の前後は、白雪に覆われる幻想的な景色が楽しめます。
ただし、この時期は雪山と化し、軽アイゼンやストック、ピッケルといった冬山装備や雪上歩行技術が必須です。
「スノーブリッジ」と呼ばれる雪に空洞ができる箇所は特に注意。
経験と装備が不足している場合は無理な入山を控えてください。
紅葉期(9月下旬〜10月上旬)
白山の紅葉シーズンは例年9月下旬から10月上旬がピーク。
ナナカマドやハイマツの色づき、草紅葉が見事です。
特に岐阜県側の「平瀬道」からの紅葉は絶景。
紅葉シーズンは夏同様に混雑しますので、マイカー規制やシャトルバスの運行状況を事前に確認し、早めの行動を心がけましょう。
白山の主要登山ルート

白山には12の登山道がありますが、一般的な登山者が利用する主要ルートは限られています。
その多くが上級レベルに分類されるため、自分の体力や経験に合ったルート選びが大切です。
ルート名 | 標高差 | 往復距離 | 登山時間(往復) | 難易度 |
---|---|---|---|---|
砂防新道 | 約1520m | 約12.8km | 約9時間 | 上級 |
平瀬道 | 約1580m | 約14.2km | 約9時間40分 | 上級 |
白山満喫コース | 約1640m | 約14.2km | 約9時間40分(泊推奨) | 上級 |
1. 石川県側:別当出合からのルート
砂防新道
最も利用者が多く、登山道も整備されているため比較的歩きやすいコースです。
- 別当出合~白山室堂(登り:約4時間40分)、白山室堂~山頂(約40分)、日帰り往復で約9時間(休憩含まず)
- 吊り橋や一部水場・トイレが利用できない場合あり
- 雪渓区間では軽アイゼンが必要な場合も
観光新道
尾根沿いを歩くので眺望がよく、高山植物も豊富な健脚者向けコースです。
- 別当出合~白山室堂(登り:約5時間)、下り:約4時間
- 現在(2025年7月31日以降)は登山道改修工事のため通行止め。
- ご利用前は最新情報を必ずご確認ください
2. 岐阜県側:平瀬道
名古屋方面からアクセスしやすい静かなルートです。
- 大白川ダム~白山室堂(登り:約4時間30分)
- 室堂まで水場がないため、飲料水はしっかり持参しましょう
- 利用者が少ないため、緊急時の自己完結が必要
- 大倉山避難小屋は現在改修中で利用不可
3. その他ルート
「お池めぐりコース」は、白山室堂を拠点に御前峰や翠ヶ池などを周遊できる約70~80分のお散歩コース。
釈迦新道・楽々新道・岩間道など一部ルートは崩落等により通行止めです。
ルート状況は変化するため、出発前に公式サイトで最新情報を確認してください。
宿泊・山小屋情報

日帰りはハードなため、山小屋での宿泊をおすすめします。
■ 白山室堂(標高2,450m)
- 白山登山の中心拠点
- オンラインでの事前予約が必須
- 営業期間:5月1日~10月15日
- 設備充実(売店、食堂、水洗トイレ、夏季診療所など)
■ 南竜山荘(標高2,080m)
- キャンプ場併設、標高が室堂より低いため高山病リスクもやや低い
- 予約必須、営業は7月1日~10月15日
- 携帯電話は発電機稼働時間のみ利用可
- ゴミは持ち帰り
避難小屋や水場・トイレの利用可否は都度変わるため、必ず最新情報をチェックしましょう。
アクセスと駐車場情報

マイカー規制とシャトルバス
7月~10月の週末や繁忙期には、市ノ瀬~別当出合間(6km)がマイカー規制となります。
- 市ノ瀬駐車場(無料/560台)に駐車し、シャトルバス(有料1000円/片道)を利用します
- 2025年シーズンはシャトルバスが7月5日より運行開始
- 最終受付時間は16:30に変更。
- 時間を過ぎると市ノ瀬から出られなくなるので注意
- 路上駐車は禁止です
公共交通機関
JR金沢駅や松任駅から市ノ瀬まで直通バスが運行されます。
バスは先着順なので満席の場合は乗れません。
到着・出発時間には余裕を持って計画しましょう。
残雪期と活火山としての対策

- 残雪期(5月~6月)
- 軽アイゼン、ストック、ピッケルなど必須。
- 雪渓やスノーブリッジの踏み抜き、落石や崩落に注意し踏み跡を外れないこと。
- 活火山対策
- 登山届の提出(火口から4km以内は義務)
- 噴火警戒レベルの確認
- ヘルメット、ゴーグル、マスク、携帯ラジオ等の持参
- 緊急時は火口から離れ、岩陰に身を寄せる
白山登山のマナーと注意点

白山登山をする際は、以下の注意点やマナーを守りましょう。
- 安全計画:
- 早朝出発・早い到着を心がけ、日没2時間前までには宿泊地に到着しましょう。
- 夜間登山は禁止されています。
- 装備:
- 登山靴の点検・防寒具・雨具・非常食などをしっかり準備。
- 体調管理:
- 少しでも体調が悪い日は登山を控えましょう。
- 環境保護:
- 動植物や岩石の採集は禁止。
- ゴミは必ず持ち帰り、靴底の種子除去マット利用にもご協力ください。
- その他マナー:
- 無理な追い越しや自転車、ペットの持ち込みは禁止です。
- トイレ:
- 携帯トイレの持参推奨。
- 「トイレチップ制」を導入しています。
まとめ
白山は、美しい自然と同時に厳しい側面も持つ山です。安全で思い出に残る登山をするために、
- 季節ごとの注意点把握と装備準備
- 最新の山・道路・施設状況の確認
- 活火山としてのリスク管理と緊急時対策
- 余裕あるアクセス計画と時間管理
- マナーと自然環境への配慮
これらを忘れず、霊峰白山の大自然を存分に、安全に楽しんでください!
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