長野ソロ旅の最終章、今回は日本屈指の山岳リゾート・上高地の実体験レポートをお届けします。
諏訪大社、松本城に続き、一人で歩いた上高地。
静かな森の空気、霧に包まれた幻想の湖、夏の花々と野鳥たち――曇りがちな空のもと、しっとりと奥深い自然とふれあった一日でした。
ちなみに、1日前の旅行記は↓です。
早朝、松本から沢渡へ – 旅の準備

松本市内で一泊し、朝はまだ薄暗いうちにホテルを出発。
天気予報はあいにく午後から雨。
晴れ間を祈る気持ちで、西へ車を走らせます。
上高地はマイカー乗入れ規制のため、麓の「沢渡(さわんど) 」で車を停めて、バスもしくはタクシーに乗り換える必要があります。

沢渡バスターミナル(ナショナルパークゲート)は旅の玄関口。
新しくてきれいな施設で、上高地の自然情報コーナーなども設置されています。

始発のバスに乗るため30分前に到着したものの、自分より早起きな登山者がすでに数組並んでいて驚き。
出発直前には行列ができていました。
バスは定刻に出発。

長野有数の景勝地だけあって、朝からみんなワクワク顔です。
大正池 – 霧・水面・立ち枯れた木々の静謐

バスで「大正池ホテル」前に到着。
ここで大半の人が降りてゆき、霧に包まれた大正池周辺の散策コースへ。
湖面にはまだ立ち枯れた木が静かに沈み、流れる霧とエメラルドグリーンの湖面が独特の神秘感を醸す、まさに“幻想的”な上高地の幕開けです。
大正池は、1915年の焼岳噴火により梓川がせき止められて誕生。
湖畔には水没した木々が白く立ち枯れ、遠くに穂高の山々が煙る空気感。
晴天なら“水鏡”に逆さ穂高が映る名所ですが、この日は深い霧で山影は見えず。

でもこの幻想感もまた一興です。
林道を歩けば鳥のさえずり。
キビタキとアカハラが競うように囀り、木道の湿地帯ではマガモの親子も発見。

鳥好きにはたまらない環境に、耳も目も癒されまくりです。
中千丈沢の押し出し – 白い石の荒涼たる光景

散策道を進むと大正池の北側、白い礫がむき出しになった「中千丈沢の押し出し」エリアに到達。
焼岳から流れてきた土砂が堆積し、大正池が年々小さくなっている原因でもあります。
霧も少し晴れ、荒々しい白い石の大地と、背景に霞む山並みが目に入ってきました。
自然のダイナミズムを間近で感じる光景です。
木道にはクマ除けのベルが設置されていて、“ここは野生の世界に自分が立ち入っているのだ”という適度な緊張も。

道中、下草の中でウロチョロするアオジの姿も。

鳥や生き物の暮らす場所に、そっとお邪魔する気持ちで歩きます。
田代湿原・田代池 – 高原の花咲く、初夏の美景

林道をさらに進むと、広がるのは「田代湿原」。
この時期はニッコウキスゲが見頃で、湿原に一面の黄色い花がゆらゆらと咲き誇っていました。

レンゲツツジやイチョウバイカモなど、上高地特有の高山植物も豊富。
この豊かな植生が、ここが“日本有数の高原リゾート”と言われる所以かもしれません。
少し寄り道して「田代池」へ。

大正池と同じく、土砂でせき止められて生まれた池。
静かな水面にはカモやオタマジャクシが見られます。

池の向こうに霞沢岳や六百山がそびえ、写真を撮りたくなる美しさ。
田代橋を経て右岸の林道から河童橋方面へ。
道中、ウエストン碑の前でひと休み。

日本近代登山の父、ウォルター・ウェストンの功績を讃えるこのレリーフの前で、「楽しみとしての登山」を日本に広めてくれた彼の偉大さにしみじみ感謝を覚えました。
河童橋・上高地ビジターセンター – 観光と学びの中心

さらに進み、上高地のランドマーク「河童橋」へ。
穂高連峰を背景に梓川にかかる木の吊り橋は、多くの人で賑わい、旅人も記念写真をパシャリパシャリ。
この河童橋の由来は深い淵に住む河童の伝説などさまざまですが、芥川龍之介の小説『河童』とも関わりが深く、いまや上高地の象徴となっています。
すぐ近くの上高地ビジターセンターでは、上高地の歴史や自然、動植物についての展示があり、ハイキングやトレッキングがより楽しくなる情報も満載。

近くの木立では、またしても野鳥ジョウビタキの姿。
ここらでも繁殖しているようですね。

そろそろ小腹が空いてきたので、河童橋脇のお店で「野沢菜おやき」を購入。

長野といえば、おやき!
梓川のせせらぎを聞きながら食べるおやきの味は格別でした。
明神橋と穂高神社奥宮 ~静寂と信仰の地へ
河童橋を越えて、さらに明神橋を目指します。
林道を歩き鳥の声とせせらぎ、花の香りを感じながら進むと、時おりガイドツアーやハイカーとも出会いました。
キビタキの声が頭上に聞こえ、偶然通りかかったグループにも場所を教えてあげる和やかな交流も。

途中で見つけたピンク色のショウキランは、光合成をせず菌類と共生だけで生きる不思議な植物。

絶滅危惧種に指定されている県も多く、ここ上高地の自然がどれほど豊かなのかを実感します。
明神橋の上からは明神岳の大迫力!

標高2931m、どっしりと聳える山姿はまさに絶景でした。
吊り橋の優しい揺れや清流の音が五感にしみわたります。
橋を渡ればすぐ、穂高神社奥宮の鳥居が現れます。

山の神々に敬意を込めて静かにご挨拶。

まさに“神域を歩いている”という実感にひたれます。
岳沢湿原 ~心ふるえる名絶景
ふたたび河童橋方面へ戻る途中、湿原好きな自分にはたまらないスポットが「岳沢湿原」。

展望ウッドデッキからは六百山を望み、澄んだ水と立ち枯れの木々が織りなす静謐な景観が広がります。
どこか別世界に迷い込んだような、今回一番感動したポイントでした。
天気が良ければより美しいですが、曇った空と冴えた風景も素晴らしかったです。
湿原脇には大勢のハイカーがしばし立ち止まり、その静かで豊かな自然に心を奪われている様子。
晴れの日も、雨の日も、この美しさは色あせません。
河童橋へ戻る~上高地食堂で山賊焼き定食
河童橋に戻ると、ポツポツと雨粒が。
急いで上高地バスターミナルへ。
お腹がペコペコだったので、名物「上高地食堂」へ駆け込み、ご当地グルメの「山賊焼き定食」をオーダー!

ニンニクダレを揉み込んだ鶏肉をカリッと揚げ、中身はジューシー。

食欲全開、大満足でした。
外に出るとすっかり本降りに。
最後の最後で雨を避けられて“運が良かった!”
帰りのバスで沢渡駐車場に戻り、車で愛知へと帰路につきました。
まとめ – 上高地と長野旅二日間を振り返って
これにて上高地の旅、そして2日に渡る長野ソロ旅が終了です。
美しい自然、心癒される風景、そしてちょっぴり野生…
一人旅だからこそ、山の静けさや大地の鼓動をゆっくり、ふかく味わうことができました。
改めて、長野の大自然と歴史、文化の奥深さを実感した素晴らしい経験となりました。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。



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