2022年3月5日〜7日にかけて、九州のラムサール条約登録湿地を巡ってきました。
九州といえば、有明海ですよね!!
有明海はシギ・チドリ類の聖地とも言える場所で、鳥屋にとっては憧れの地。
ようやく足を運ぶことができました。
そこで見聞きしたものを綴っていくので、九州で鳥を見る人の参考になれば幸いです。
5日 肥前鹿島干潟・大授搦周辺
昨夜に名古屋発の夜行バスに乗り、5日の朝に小倉へ到着しました。
そこから、レンタカーで肥前鹿島干潟を目指します。
肥前鹿島干潟
肥前鹿島干潟は、佐賀県鹿嶋市に位置する干潟です。
2015年にラムサール条約に登録され、多くの水鳥が集まります。
※この後も「ラムサール条約」の単語が何度も登場します。
よく分からない方は、↓をご覧ください。
到着早々、ハヤブサが目の前を飛翔しました。
地元でも見る鳥とはいえ、テンション上がりますね!!
しかし、シギチはほとんどおらず、遠くにツクシガモが見えるのみ…。
ハヤブサが飛ばしてしまった可能性もありますが、潮が引きすぎて遠くの方へ行ってしまったのかもしれません。
有明海の凄さを思い知りましたね…。
鹿島市干潟展望館
鳥見をそこそこし、鹿島市干潟展望館へ。
鹿島市干潟展望館は道の駅鹿島の中にあり、肥前鹿島干潟を眺望することができます。
建物自体は古い印象を受けましたが、眼の前に広がる干潟を見ると、そんな印象は吹き飛びました。
道の駅の施設ということで、入館無料です。
訪れたときは人もいなかったので、気兼ねなく景色を堪能できました。
鹿島市干潟展望館の基本情報
鹿島市干潟展望館の基本情報を紹介します。
料金 | 無料 |
住所 | 佐賀県鹿島市音成甲4427-6 |
電話 | 0596-29-4126 |
営業時間 | 9時〜17時 |
定休日 | 12/29-1/3まで |
公式サイト | こちら |
鹿島市干潟交流館
干潟展望館を後にし、隣にある鹿島市干潟交流館へ。
鹿島市干潟交流館は、有明海の生きものを見たり、干潟を体験したりすることのできる施設です。
中はミニ水族館になっており、ワラスボやムツゴロウといった有明海を代表する生きものが多くいました。
他にもアカエイやオニオコゼの姿も。
パネルも多く展示されており、特に目を引いたのはガタリンピックの展示です。
ガタリンピックとは、干潟の上で行われる運動会のようなもの。
いつか参加してみたいと思っていますが、なかなか行けるタイミングがありませんね…。
鹿島市干潟交流館の基本情報
鹿島市干潟交流館の基本情報を紹介します。
料金 | 無料 |
住所 | 佐賀県鹿島市音成甲4427-5 |
電話 | 0954-60-5028 |
営業時間 | 5月~10月 9:00~18:00 11月~4月 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は開館し火曜日が休館) 12/29-1/3まで |
公式サイト | こちら |
道の駅鹿島
せっかくなので、道の駅鹿島もチラ見。
普通の道の駅と変わらないのかなーと思っていましたが・・・
ゾンビランドサガのパネルが存在感を放っていまいた。
ゾンビランドサガは佐賀を舞台にした作品で、肥前鹿島干潟は聖地の一つです。
好きなアニメの一つなので、唐突な出会いに笑みがこぼれました。
一通り物色し、道の駅を後にします。
道の駅鹿島の基本情報
道の駅鹿島の基本情報を紹介します。
料金 | 無料 |
住所 | 鹿島市大字音成甲4427-6 |
電話 | 0954-63-1768 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 特になし |
公式サイト | こちら |
大授搦周辺
道の駅を後にし、向かったのは大授搦です。
どこ?って思われるかもしれませんが、東よか干潟の別名みたいなものです。
鳥獣保護区指定地名やラムサール条約登録地名は「東よか干潟」ですが、
バードウォッチャーには「大授搦」の名で親しまれています。
※呼び方はどっちでも大丈夫です。
到着した頃にはすでに夕方なので、干潟へは行かずに周辺で鳥を見ました。
最も目立っていたのは、ミヤマガラスです。
電線から悲鳴が聴こえてきそうなぐらい、ミヤマガラスが大量にいました。
愛知県民の私にとって、ミヤマガラスは琵琶湖で数十羽の群れを見るものという認識でしたが
この数に今までの常識を覆させられましたね笑
そして、個体数といえばこちらも。
ホシムクドリです。
愛知の感覚だと、ムクドリの大群に数羽入っているかどうかの鳥ですが
ここではムクドリの小さい群れにも普通に紛れ込んでいました。
やはり、九州は違いますね…。
他にも、カササギやハイイロチュウヒを観察。
日が暮れてきたので、本日のディナーへ。
むつごろう亭 丸善
訪れたのは、むつごろう亭 丸善です。
ここでは、ムツゴロウ料理を楽しむことができます。
大授搦に来て、干潟の幸を食べないわけにはいきませんからね。
注文したのは当然、むつごろう定食!!
ムツゴロウの甘露煮は最高の一言。
ご飯が驚異のスピードで溶けていきました。
リピート確定ですね。
食後は大授搦の周辺に戻り、車中泊です。
むつごろう亭 丸善の基本情報
むつごろう亭 丸善の基本情報を紹介します。
料金 | 600-1500円 |
住所 | 佐賀県佐賀市東与賀町田中466-27 |
電話 | 0952-45-2911 |
営業時間 | 11:30 – 13:30 17:00 – 閉店時間は状況による |
定休日 | 不定休 |
公式サイト | 特になし |
6日 大授搦,荒尾干潟
起床し、身支度を整えて干潟へ出陣です。
大授搦
最初に目にしたのは、ズグロカモメ。
地元でも冬になると普通に見られる鳥ですが、ここは数が違います。
そもそもズグロカモメは絶滅危惧Ⅱ類であり、世界的に個体数が少ない鳥です。
それが数百羽もいるんですから、唖然としてしまいますね…。
そして、群れといえばもう一つ。
ハマシギとシロチドリの群れです。
この2種の群れは、三桁では収まりきらない数でした。
観察していると、この群れにハヤブサが突入。
大群の乱舞が繰り広げられました。
ハマシギは「干潟の宝石」と呼ばれていますが、その異名に恥じない美しい光景です。
2時間ほど鳥を見た後、有明海の鳥屋で知らない人はいないNさん親子と合流。
実は、一緒に鳥を見る約束をしていました。
心強い限りです。
スコープで何かいないか探していると、クロツラヘラサギの群れが飛来しました。
眼の前に降り立ったので、じっと観察します。
すると、群れのうち2羽が相互羽繕いを始めました。
相互羽繕いは求愛の一つと考えられている他、自分では届かない場所を羽繕いしてもらえるため利点も多いです。
メジロやキジバトでも見られる行動なので、見たことがある人も多いかもしれませんね。
ヘラサギ類ではわりと知られている行動なので、実際に見られて満足です。
じっくり観察していると、今度はダイシャクシギの群れが降り立ちました。
地元の干潟では、この規模でダイシャクが飛翔することはほぼありません。
非常に新鮮でした。
せっかくの大授搦。
鳥だけではもったいないので、ベントスも探しました。
しかし、足を運んだのは3月。
ほとんどは休眠中です。
何も見られないかな…と思っていたら、地表面を這いずり回るアズキカワザンショウがゴロゴロしていました!!
普段見ることのないカワザンショウ類ということで、めっちゃ嬉しいですね。
地元の干潟には、以下のカワザンショウが生息しています。
- クリイロカワザンショウ
- ヨシダカワザンショウ
- ヒナタムシヤドリカワザンショウ
- ツブカワザンショウ
- ヒラドカワザンショウ
- カワザンショウガイ
アズキだけいないので、今回見られて軽く感動です。
他には休眠から覚めていたトビハゼがいましたが、それだけでした…。
ちなみに、大授搦といえばシチメンソウです。
シチメンソウとは、干潟で生育することのできる塩生植物。
秋になると紅葉し、干潟の後方で赤い絨毯が広がります。
今回は春なので、生えたばかりのシチメンソウがある程度でした。
大授搦での観察を終え、ビジターセンターへ向かいます。
東よか干潟ビジターセンター「ひがさす」
ひがさすは、大授搦の動植物や自然を詳細に学べる施設です。
鳥やベントスに関する展示が特に目立っていました。
シギ・チドリ類のフライウェイの展示は、大授搦らしくてポイント高いですね!!
他にも、鳥に食べられるベントスの気持ちを味わえる展示もユニークで面白かったです。
ちなみに、カフェとお土産ショップも併設されています。
お土産にお米と海苔を購入!!
皆さんも遠征したら、お金を落としてあげましょう。
最後に、案内していただいたNさん親子…
ありがとうございました!!
東よか干潟ビジターセンター「ひがさす」の基本情報
東よか干潟ビジターセンター「ひがさす」の基本情報を紹介します。
料金 | 無料 |
住所 | 佐賀県佐賀市東与賀町大字田中2757−4 干潟よか公園西側 |
電話 | 0952-37-0515 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜(月曜祝日の場合は翌平日) 12月29日から1月3日 |
公式サイト | こちら |
荒尾干潟
大授搦を出発し、荒尾干潟へ。
荒尾干潟もラムサール条約登録湿地で、単一の干潟としては国内有数の広さを誇っています。
引きすぎて、鳥が遥か遠くへ…。
有明海の干潟のレベルが違いすぎて、笑っちゃいますね。
手前で採餌するツクシガモを見ながら、荒尾干潟水鳥・湿地センターへ向かいます。
荒尾干潟水鳥・湿地センター
荒尾干潟水鳥・湿地センターでは、荒尾干潟の生きものや有明海に関する文化について知ることができます。
特に文化に関する展示は力を入れており、食や漁について深く学ぶことができました。
アナジャコやムツゴロウなど、ベントスの食文化が残る有明海ならではですね。
他にもアナジャコの調査結果やマイクロプラスチックのポスター展示、夕陽の写真など目を引く展示がありました。
ひがさすとは違ったベクトルで、非常に面白いですね。
とはいえ、展示を100%楽しめたのは、2名のスタッフのおかげです。
荒尾干潟に関して非常に詳しく説明していただいた、HさんとOさん…
本当にありががとうございました!!
外へ出て、周囲で鳥見開始。
早速、水辺でクロツラヘラサギとヘラサギを発見。
ヘラサギは、私が一番好きな鳥なので嬉しいですね!!
ヘラサギ類特有の採餌が大好きでして、今回も嘴を水に突っ込んで左右に振っていました。
最高ですね。
周囲の電線には、カササギが飛来しました。
初日から幾度となく観察していたカササギですが、今回が一番近かったです。
白黒のボディが美しいですよね。
そりゃ、七夕伝説にも登場するわけです…。
最後に、荒尾干潟に戻って名物の夕陽を鑑賞。
干潟に沈む夕日に、心が洗われますね。
荒尾干潟水鳥・湿地センターの基本情報
荒尾干潟水鳥・湿地センターの基本情報を紹介します。
料金 | 無料 |
住所 | 熊本県荒尾市蔵満20−1 |
電話 | 0968-57-7444 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜(月曜祝日の場合は翌平日) 12月29日から1月3日 |
公式サイト | こちら |
7日 出水ツルの越冬地
昨夜に、荒尾干潟からツル観察センターの駐車場に移動し車中泊しました。
ツル観察センターのある出水平野は、ツルの聖地でありラムサール条約登録湿地です。
特に多いのはナベヅルで、世界の生息数の約8割が出水平野で越冬します。
そのような場所で、日の出とともに起床。
すでにナベヅルの声が聞こえていました。
北帰行が始まっているというのに、個体数が大変なことになっているのが容易に想像つきますね…。
実際に見に行くと、何羽いるのか分からないレベルの個体数が集まっていました。
これだけの個体数がいると、鳥インフルエンザによる死滅が本当に怖いですね…。
もう少し他の地域にも分散して欲しいところです。
ツル観察センターから離れ、近くの農耕地で鳥見しました。
ソデグロヅルが飛来していた年なので、どうせなら見て帰りたいところです。
車を数分走らせると、ナベヅルと一緒に採餌するソデグロを発見です。
名前の通り、飛翔すると翼先の黒色部が目立つ鳥ですが
ずっと採餌していたので、よく見られませんでした。
まぁ、個体自体を見られただけでも良しとします。
ちなみに、ソデグロヅルは個体数が少ないことで有名な鳥です。
世界で約3000-4000羽と言われており、IUCNレッドリストでもCR(深刻な危機)に該当されています。
個体数が回復することを願うばかりです…。
出水市ツル観察センター
ツル観察センターへ戻り、入館して屋上へ向かいます。
屋上から周辺の農耕地を一望できるので、そこからスコープで他のツルがいないか探しました。
すると、かろうじてクロヅルを3羽発見。
他にもいないか探しましたが、マナヅルすらいませんでした。
時期が時期なので、しょうがないですね。
目線の高さで飛翔するナベヅルをしこたま見て、ランチへ行こうかと思います。
出水市ツル観察センターの基本情報
出水市ツル観察センターの基本情報を紹介します。
料金 | 大人:220円 小・中学生:110円 |
住所 | 鹿児島県出水市荘2478番地4 |
電話 | 0996-85-5151 |
営業時間 | 6:30~17:00(入館受付は16:30まで) |
定休日 | 開所期間中無休 営業日:11月1日~3月第2日曜日 |
公式サイト | こちら |
島津亭
最終日のランチに訪れたのは、島津亭。
鶴丸会館という、宴会などに用いられる施設内のレストランです。
店内の写真を撮影し忘れましたが、高級感で溢れています。
そんな場所で注文したのは、「いずみ親子ステーキごはん」です。
出水市は日本を代表する、鶏肉,鶏卵の生産地。
それらを使ったご当地グルメが本メニューです。
定義やルールに関しては、こちらをご参照ください。
自分でお肉を焼く楽しさもあり、味も最高でした!!
島津亭の基本情報
島津亭の基本情報を紹介します。
料金 | 1200-3500円 |
住所 | 鹿児島県出水市上鯖渕840-3 |
電話 | 0996-63-1122 |
営業時間 | 11:00-14:00(土日祝は14:30まで) 17:00-21:00(オーダーストップ20:30) |
定休日 | 大晦日のみ休業 |
公式サイト | こちら |
帰宅
帰りも夜行バスなので、急いで小倉まで戻ります。
到着後、少し時間が空いたのでモツ鍋を堪能!!
最後の九州要素を腹に収め、バスに乗り込んで九州旅は幕を閉じました。
見られた鳥
ツクシガモ | オオバン | カササギ |
オカヨシガモ | タゲリ | ハシボソガラス |
ヨシガモ | コチドリ | ハシブトガラス |
ヒドリガモ | シロチドリ | ミヤマガラス |
マガモ | メダイチドリ | シジュウカラ |
カルガモ | タシギ | ヒバリ |
ハシビロガモ | オグロシギ | ツバメ |
オナガガモ | チュウシャクシギ | イワツバメ |
コガモ | ダイシャクシギ | ヒヨドリ |
ホシハジロ | ホウロクシギ | ウグイス |
キンクロハジロ | アオアシシギ | ムクドリ |
カイツブリ | クサシギ | ホシムクドリ |
ハジロカイツブリ | イソシギ | シロハラ |
キジバト | ハマシギ | ツグミ |
カワラバト | ズグロカモメ | ジョウビタキ |
カワウ | カモメ | イソヒヨドリ |
アオサギ | セグロカモメ | スズメ |
ダイサギ | オオセグロカモメ | キセキレイ |
コサギ | ミサゴ | ハクセキレイ |
ヘラサギ | トビ | セグロセキレイ |
クロツラヘラサギ | ハイイロチュウヒ | タヒバリ |
ソデグロヅル | ノスリ | カワラヒワ |
クロヅル | チョウゲンボウ | ホオジロ |
ナベヅル | ハヤブサ | 計73種 |
バン | モズ |
個人的には、控えめな種数となってしまいました…。
もう少し早く来ていればツル類や猛禽類が、遅く来ていればシギチが多く見られたはずです。
社会人なので、行きたい時期に行けないのが悔しいですね。
また訪れたいと思います!!
ちなみに、ソデグロヅルは私が見た翌日に北帰行したそうです。
奇跡を感じております。
費用
今回かかった費用は46218円でした。
内訳は↓の記事をご覧ください。
謝辞
大授搦を案内していただいたNさん
訪れた施設のスタッフさん
同行してくれたKK君
オススメの鳥見スポットを教えてくれた皆様
本当にありががとうございました!!
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